あらすじ
児子家は父が死んで一家散々に大阪で生活した。百万の富を築いた長男である権右衛門の妻の雅江は、娘を伯爵との婚約にうまく運ばせようとして、必死だった。金があるこの家にないものは品であったからだ。そのため自ら雅江は鼻を成形したり、パーマネントを当てるほどだった。しかい、夫の弟である千恵造の妻が、偏見を持たれる生まれであることを知って、別れさせようと躍起になり、千恵造が朝鮮に駆け落ちすることになった。権右衛門は雅江を怒り、兄弟で会社を作ると言って、千恵造を連れ戻し、別れさせることができた。そして、すぐに再婚させるが、元妻と再び駆け落ちしてしまった。
金を持っても俗臭は消えない。
雅江は自分の功績を大きく考えている。自分の容姿を好くすることが娘の婚約を円滑に進めるために必要と考えているが、鼻を整形するほど必要とは思えない。彼女は強くコンプレックスを抱いているだけだ。彼女が実際に与える周囲への影響は、彼女が思っているよりも小さいことがうかがえる。
権右衛門は人情よりも、金を大事に思う。灸の老婆を見捨てたのも、伝三郎が手を挟まれた時、それに気づきながら葉巻を吸えたのはそのためである。しかし、それが商人としてうまくゆく秘訣だと考えている。
金を持ったところで、備わっている性質は変わらない。そして、金に操られているか、金で買えない権威に操られていることが俗臭なのだ。
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