2017年4月27日木曜日

「桜の樹の下には屍体が埋まっている!」桜の樹の下には 梶井基次郎

 表には裏がある。そして表裏は一体であり、裏を知らずには表を知られない。
 安全剃刀は、気持ちが好いほどに表裏一体を表している。また、華やかな蜉蝣の結婚は、蜉蝣の死体を基に成り立っている。きれいな桜の裏は何かと想像すると、そのきれいさに見合うほどの汚さが必要である。それを彼は桜の樹の下には屍体が埋まっていると想像して、安心した。そして、桜のきれいさを享受できるようになったのだ。 
 華やかな物を素直に受け入れられない人間が想像を働かせている。

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